
- 優良せり人に対し市長感謝状が贈呈されました
大阪市中央卸売市場本場
平成29年3月22日(水)に、平成28年度優良せり人に対する市長感謝状贈呈式が開催されました。
制度の趣旨は、永年にわたり、せり人としてその職務に精励し、市民の食生活安定に寄与した優良せり人に対し、市長感謝状を贈呈するものです。
今年度、各卸売会社より推薦され、選考されたせり人の人数は以下のとおりです。
○ 大果大阪青果(株) 1名
○ 大阪中央青果(株) 4名
○ (株)うおいち 3名
お問い合わせ先 市役所本場(業務管理グループ) 電話6469-7970
- 事業者に求められる食の安全 -HACCP(ハサップ)の制度化にむけて-
大阪市中央卸売市場食品衛生検査所
近年、全国における食中毒は年間約1,000件、患者数約2万人で推移しており、下げ止まりが指摘されています。また、異物混入やアレルギー物質の記載もれなどによる食品の回収事例も増加しています。こうした中、厚生労働省では2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、日本の食品衛生管理の水準が国際的に見ても遜色がないことを示す必要性から、「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」を開催してHACCPによる衛生管理の制度化を検討してきました。
平成28年12月に検討会から最終とりまとめが公表されましたので、その内容とHACCPについて簡単にご紹介します。
1 HACCP(ハサップ)とは
HACCP とは、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点、場所)の頭文字をとったもので、ハサップあるいはハセップと呼ばれています。
食品の原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程の中で、予想される危害の発生を防止するための重要な管理ポイントを定め、このポイントを連続的に監視・記録することで製品の安全を確保する衛生管理の手法です。
もともと1960年代にアメリカの宇宙開発(アポロ計画)の中で考案されました。宇宙では病院などがないため、宇宙飛行士が食べる食品は100%安全であることが必要です。絶対に食中毒を起こさない宇宙食を作るための衛生管理方法として考案されたのが始まりで、現在では世界各国で取り入れられています。
HACCPによる衛生管理は、これまでの衛生管理と全く異なるものではありません。これまでの衛生管理を基本としつつ、科学的な根拠に基づきHACCPの原則に則して管理し、食品の安全性確保の取組みを「見える化」しようとするものです。
2 HACCP方式と従来の製造方法の違い
これまでの衛生管理は、最終的に出来上った製品の抜取検査を行うことで安全性を確認していました。この方法では、すべての製品を検査することは不可能なので、どうしても問題のある製品がチェックをすり抜けてしまう可能性があります。これに対してHACCPによる衛生管理では、すべての工程で重要なポイントを連続的に監視・記録するため、効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能となります。
従来の製品検査 HACCPによる工程管理 取り組む段階 最終製品 原材料受入れから最終製品までの全工程 取り組む方法 一定率の抜取検査(一定の見逃し率が存在) あらかじめ危害を予測し、危害防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録 対応・効果 検査で不適合を見つけたら、一連の全ての製品の廃棄が必要 効果的に問題のある製品の出荷を未然に防止 「農林水産省ホームページ HACCPとは?」より
3 HACCP導入のメリット
このようにHACCPによる衛生管理は、食品の安全性の向上につながることはもちろん、仮に事故が発生したとしても、記録等をもとに原因の追及を行い、衛生管理のどこに弱点があったかを分析し、その結果をもとに改善に取り組むことが可能です。
食品を提供する事業者にとってメリットが大きく、同時に消費者のメリットにもつながるものと考えられます。
厚生労働省のリーフレット「ご存じですか?HACCP」には、HACCP導入のメリットの一例として、
- クレームやロス率が下がり、品質のばらつきが少なくなった
- 取引先からの評価が上がった
- 衛生管理のポイントを明確にして、記録も残すことで、従業員の経験やカンに頼らない、安定した安全な製品が作れるようになった
- 工程ごとに確認すべきことが明確になった
- 従業員のモチベーションが上がり現場の状況が把握しやすい
といった点があげられています。
4 国内外のHACCP導入状況
【国内】
国内ではこれまで、食品衛生法に基づく総合衛生管理製造過程承認制度や管理運営基準におけるHACCP導入型基準の選択制度、また、HACCP支援法や国の輸出施設認定(対米国・対EU)などによりHACCPの普及が図られてきました。
その結果、大規模事業者を中心に導入が進んできましたが、中小事業者の導入は進んでいません。平成27年度の農林水産省の調査(従業員数5人以上の製造業が調査対象)によると、「すべての工場又は一部の工場で導入」又は「導入途中」と回答した企業の割合が、大規模層では約90%を占める一方、中小規模層では約35%にとどまっており、依然としてその普及が課題となっています。
【海外】
次のとおり世界的にもHACCP導入の動きが進んでいます。
EU - 2004年より、規模や業種に関係なく、すべての食品事業者(一次生産者を除く。)に対してHACCPによる衛生管理の導入が義務付け。
- 中小企業や地域における伝統的な製法等に対しては、HACCP要件の「柔軟性」(Flexibility)が認められている。
米国 - 1997年より、水産食品、食肉・食鳥肉及びその加工品、果実・野菜飲料について、順次、HACCPによる衛生管理を義務付け。
- 2016年9月からは順次、食品の製造・加工・保管・包装事業者(小規模事業者等を除く。)についても、HACCPの概念を取り入れた衛生管理を義務付け(食品安全強化法による)。
カナダ - 1992年より、水産食品、食肉、食肉製品について、順次、HACCP を義務付け。
オーストラリア - 1992年より、輸出向け乳及び乳製品、水産食品、食肉及び食肉製品について、順次、HACCPを義務付け。
韓国 - 2012年より、魚肉加工品(蒲鉾類)、冷凍水産食品、冷凍食品(ピザ類、饅頭類、麺類)、氷菓子類、非加熱飲料、レトルト食品、キムチ類(白菜キムチ)について、順次、HACCP を義務付け。
台湾 - 2003年より、水産食品、食肉製品、乳加工品について、順次、HACCPを義務付け。
その他 - 香港、シンガポール等、食品の多くを輸入に頼っている国や地域ではHACCPの導入が輸入要件とされている。
(平成27年2月 厚生労働省食品安全部監視安全課HACCP企画推進室「HACCP導入普及推進の取組」をもとに作成)
5 HACCP制度のあり方
今後、食品の安全性についてさらに向上を図っていくため、これまでの衛生管理の取組みに加え、国際標準となっているHACCPによる衛生管理の手法を取り入れ、定着をはかることが重要です。
HACCPの制度化のあり方として、検討会から次のとおり提言されています。
【対象となる事業者の範囲】
飲食店も含めた食品の製造・加工、調理、販売等を行うすべての食品等事業者を対象とすることが提案されています。フードチェーン全体で取り組むことで、各段階で関わる食品等事業者の衛生管理の取組みや課題が明らかになることが期待されます。
【適用する基準の考え方】
コーデックスのガイドラインに基づくHACCPの7原則を要件とする基準(基準A)を原則としますが、7原則をそのまま実施することが困難な小規模事業者や一定の業種については、7原則の弾力的な運用を可能とします。
具体的には、一般衛生管理を基本としたHACCPの考え方に基づく衛生管理の基準(基準B)によることが適当であるとしています。
基準A :
コーデックスのガイドラインに基づくHACCPの7原則を要件とするもの。
基準B :
一般衛生管理を基本として、事業者の実情を踏まえた手引書等を参考に必要に応じて重要管理点を設けて管理するなど、弾力的な取扱いを可能とするもの。
小規模事業者や一定の業種等(注)が対象(注)一定の業種等とは、当該店舗での小売のみを目的とした製造・加工、調理を行っている事業者 / 提供する食品の種類が多く、かつ、変更頻度が高い業種 / 一般衛生管理で管理が可能な業種等(飲食業、販売業等)
6 今後の課題
HACCPの導入には施設や設備の整備が必須である、輸出食品の問題である、など誤解が生じていることも危惧されることから、事業者の方にHACCPに関する正確な知識を分かりやすく伝えることが必要です。
また、HACCPに関する知識を持つ人材の不足が指摘されていますので、基礎的な知識を持つ人、事業所で中心となって導入を進める人、指導・助言ができる人など、現場のニーズにあった人材の育成を図る必要もあります。
特に、小規模の事業者等に対して適用される基準Bについては、対象とする業種の範囲の検討や、事業者が衛生管理計画を策定するうえで負担とならないよう、手順書の作成など衛生管理の実施を支援することが求められます。
その上で検討会の提言では、小規模事業者を含む食品等事業者が、円滑かつ適切にHACCPによる衛生管理に取り組むことができるよう、十分な準備期間を設けることが必要であるとしています。
加熱して食べる冷凍メンチカツによる腸管出血性大腸菌O157食中毒や、きざみのりが原因のノロウイルス食中毒など、思いもよらない食品で事件、事故が起こっています。
食品を取り扱われる事業者にとって、食の安全をどう確保するかは重要な問題です。HACCPによる衛生管理が本格的に進められ、制度化されることで食の安全確保が大きく前進することが期待されます。
【参考】
- 総合防災訓練を実施しました
大阪市中央卸売市場本場
2月24日(金)に本場業務管理棟内及びその周辺で本場自衛消防組織総合防災訓練を実施しました。
震度6弱の地震により火災が発生、併せて大津波警報が発令されたとの想定です。本場全体での緊急放送による避難指示で、約70名の方が混乱なく整然と階段を下りて避難訓練を行いました。
今回は大阪市消防局所有の地震体験車「だいち」で震度7の地震体験も行いました。震度7の揺れのあまりの大きさに、参加者の中には乗車を躊躇される方もおられるほどでした。
また、防災クイズに各団体が挑戦し、福島消防署が貫録の1位となりました。
この訓練を機会に、さらに日常での防災意識の向上が図られました。
問い合わせ先 市役所本場(業務管理担当) 電話6469-7955
- 「旬の魚」ジンドウイカ(ヒイカ)
-
今回は、ヤリイカ科に属する小型のイカ「ジンドウイカ」の紹介です。
ジンドウイカの写真
生態と分布
ヤリイカ・ケンサキイカ・アオリイカと同じヤリイカ科に属しています。
胴の長さは成魚でも10cm程度の小型のイカで、エンペラが胴の半分近くを占めているのが特徴です。市場ではヒイカ・小イカと呼ばれています。
岡山県などで獲れるベイカや、鹿児島県などで獲れるヒメジンドウイカ、ウイジンドウイカなど近縁種との区別は難しく、触腕の先にある吸盤の形や大きさなどを詳しく調べてみないとわからないほどです。ちなみにジンドウイカは第2、3腕が太めで吸盤が大きいのが特徴です。
北海道中部以南から日本各地の沿岸部、東シナ海にかけて分布しています。
春から夏の産卵期に沿岸部に来遊するため、この時期の漁獲が多く、市場への入荷も2月~4月頃が最も多いです。主な産地は宮城県で、その他では淡路周辺や和歌山などからも入荷します。漁法は、定置網・底引き網などです。
名前の由来
的矢の鏃(やじり・矢の先の部分)の一種「神頭(じんどう)」に似ているからという説があります。神頭は先を平らに切って的を傷つけないようにしたもので、マルイカ、ボウズイカなどの地方名もこれに関連しているのかもしれません。他にハナイカ、アカイカという地方名もあります。
鮮度が良くても白っぽい
昔は主に産地で消費されていたジンドウイカですが、輸送技術も進歩し、消費地まで新鮮な状態で届けられるようになりました。
新鮮なイカは透明といわれますが、ジンドウイカはスルメイカなどに比べると、鮮度が良くても白っぽいようです。
寿司ネタにするなら丸ごと
新鮮なものであれば刺身にします。小さいイカなので刺身や煮イカを丸ごと寿司ネタにする寿司店もあるようです。刺身や寿司ネタで使うときは、もちろん下処理をきちんとしますが、煮たり焼いたりするときは目をとるくらいで、ワタやスミはそのまま調理すれば、コクが出て一味違った味わいとなります。
おいしい食べ方
ジンドウイカの煮付け
料理は煮付けが一般的です。大根や里芋など季節の野菜と炊くと野菜にイカの味がしみておいしいです。
さっと熱湯にくぐらせ木の芽和えにしたり、ホタルイカ同様、ボイルして酢味噌で食べるのもおすすめです。イカを煮る時は、良い出汁がでるので一緒に野菜を炊きましょう。今回は里芋です。他では大根などもおいしいです。
イカ類は煮すぎると硬くなるので、里芋が煮える間は取り出しておいて、最後に一緒にします【材料(3~4人分)】
小イカ:・・・1パック(250g)
里芋・・・6個(300g)
柚子の皮・・・千切り少々(あれば)
<煮汁>
醤油、みりん、砂糖・・・各大さじ3
水・・・150ml
酒・・・150ml
かつおだし(顆粒)・・・少々
昆布・・・5×10cm【作り方】
① 里芋は皮をむいて食べやすい大きさに切り、面取りしてから下茹でします。楊枝を刺して中心部まで柔らかくなったらOK。
② 里芋を下茹でしている間にイカの下処理をします。イカは丸のまま軽くもむように洗ってヌメリを落とし、目、くちばし、透明な軟骨を取り除きます。イカがごく小さければそのままでもかまいませんが、食べる時に口に当るので、できれば取り除いておいたほうが親切です。目は魚の骨抜きでつまんでちぎり取ります(ちょっと残酷)。くちばし、軟骨は押し出して指でつまんで取ります。目の汁やイカ墨で汚れるので、もう一度洗って水を切ります。
③ 鍋に煮汁の材料と②のイカを入れて火にかけ、沸騰してイカに火が通ったら昆布とイカを取り出し、①の里芋を入れて落し蓋をし、煮汁が半分くらいになるまで(15~20分)煮ます。最後に取り出しておいたイカを加えて火を止めます。
④ そのまま10分くらいおいて味を含ませてから小鉢に盛り、柚子皮を添えます。参考文献
現代おさかな辞典(NTS INC)
食材魚類大百科(平凡社)
- 行事予定のお知らせ
第69回 場内野球大会
応援おねがいします!!
日 時 4月4日(火)~4月28日(金) 試合開始 午後3時 ~(1日1試合) 場 所 松島球場(西区千代崎1丁目) 試 合 トーナメント方式 申込締切 平成29年3月13日(月)申し込み締め切りました。 その他 優勝・準優勝チームは、29年度の京阪神三都市市場大会(10月 大阪大会)の代表になります。 《詳細は、市場協会(内線7850) 飯田までお問い合わせください》
- 資料室からのご案内
新刊案内
『キューピーニュース 朝食を抜く習慣による循環器疾患への危険』(キューピー株式会社)
朝の時間を有効活用する「朝活」など、朝の過ごし方への関心がここ数年で急速に高まっています。同時に朝食の重要性も浸透し、毎日きちんと朝食をとろうという意識も強くなっています。しかし、忙しさやダイエットなどの理由で、朝食を食べていない人もまだ多いのも実情です。平成27年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、20歳以上の朝食の欠食率は全体で14.3%。30歳代男性と20歳代女性では4人に1人以上が朝食を抜いていることが明らかになりました。朝食には生活のリズムを整え、脳にエネルギーを補給する重要な役割があることは広く知られていますが、朝食をとらない生活を続けると、循環器疾患のリスクが高まることはご存じでしょうか?
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『aff 特集1:花 特集2:盆栽』(農林水産省 広報室)
『アクアネット 特集:カンパチ養殖の明日』(湊文社)
『[臨時増刊]日本食糧新聞 平成28年度 食品ヒット大賞/新技術・食品開発賞特集』(日本食糧新聞社)
『平成27~28年 第90次農林水産省統計表』(農林統計協会)
『平成27年度 水産総合研究センター年報』(水産研究・教育機構)
『果実日本 特集:カンキツの高品質生産における最新動向』(日本園芸農業協同組合連合会)
『平成28年度版 我が国周辺水域主要魚種の資源評価』(水産研究・教育機構)

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- 号外 2010年08月05日