
- 有毒植物による食中毒に注意しましょう
大阪市中央卸売市場食品衛生検査所
秋は行楽のシーズン。近年の登山、トレッキングブームもあり、野や山へのハイキングや旅行に行かれる方も多いと思います。その際、食べられるキノコや山菜等と間違えて、有毒な植物を食べたために食中毒になる事例が、全国で毎年発生しています。これら有毒な植物(毒キノコを含む)の中には非常に毒性が強いものがあり、場合によっては死に至ることもあるので、十分な注意が必要です。
有毒植物
有毒植物の中には、食べることができる植物や山菜と形・名前が似ているものがあり、誤って食べないように十分注意が必要です。また、普段よく目にする食べ物であっても、調理方法や食べ方等に気をつけなければならないものもあります。次の表は、主な有毒植物の種類と間違えやすい植物を示しています。
表1.主な有毒植物の種類
植物名 科名 有毒部位 中毒症状 誤認しやすい植物
ジギタリス
ゴマノハグサ科 全草、特に葉 心臓毒、おう吐、下痢、不整脈等 コンフリー
(現在、販売禁止)スイセン
ヒガンバナ科 全草、特に鱗茎 消化器系障害、
おう吐、下痢等ニラ、ノビル
バイケイソウ
ユリ科 全草、特に根茎 おう吐、下痢、心拍数及び血圧の低下、けいれん等 ギボウシ類、
ギョウジャニンニクチョウセン
アサガオナス科 全草(根茎、葉、実、種子) おう吐、痙攣、
呼吸困難等ゴボウ、オクラ、ゴマ
トリカブト属 キンポウゲ科 全草
(塊根、葉、茎)神経中枢麻痺、
おう吐、下痢等ニリンソウ、モミジガサ、ヨモギ
【代表的な有毒植物】
・トリカブト
(形態的特徴)茎は直立あるいは斜めになる。秋に枝分かれした茎の先に独特な兜状の花を咲かせる。種類が多く、花色は一般に紫色で、稀に白色、淡黄色など。全草に有毒アルカロイドのアコニチンを含有し、春に、食用野草のニリンソウなどと間違って誤食される中毒事故が多い。
(中毒症状)食後10~20分以内で、口唇、舌、手足のしびれ、おう吐、下痢、不整脈、痙攣。呼吸不全を起こして死亡することもある。
・スイセン
(形態的特徴)多年草で、冬から春にかけて白や黄の花を咲かせるものが多い。葉はニラ、ノビルによく似ているため間違えやすい。鱗茎はタマネギと間違えやすい。ニラとの区別は臭いをかげばすぐにわかる。
(中毒症状)食後30分以内に吐き気、おう吐、頭痛等。
毒キノコ
日本人は古くからキノコを採集して食料としてきたと考えられていますが、キノコによる食中毒で命を落とす人も多かったとされています。
“縦に裂けるキノコは大丈夫”、“派手な色のキノコは毒”等、様々な鑑別法が巷間で言われていますが、ほとんどが不正確、あるいは見当違いとされています。
日本のキノコは4,000種とも5,000種とも言われていますが、命が危険にさらされるほどの毒キノコはそれほど多くないとされています。このことから、危険な毒キノコをしっかりと認識し、見た目だけで判断しないことが重要です。
表2.日本におけるきのこ中毒者数の推移
年次 中毒者数 死亡者数 統計(人) 年平均(人) 総計(人) 年平均(人) 1886~1911年 1912~1925年
1926~1945年
1947~1961年
1962~1978年
1979~1985年
3,440 1,870
3,138
5,686
7,003
1,322
143 134
157
379
412
220
944 234
230
180
38
5
39.8 16.7
11.5
12.0
2.2
0.8
(食品衛生検査指針理化学編より抜粋)
【代表的な毒キノコ】
・カエンタケ
(形態的特徴)棒状で全体が火炎のように赤い。毒性はかなり強く、日本全土に分布し、枯れ木の周囲の地上に発生する。
(中毒症状)腹痛、悪寒、手足のしびれ、おう吐、下痢等が起こり、重症化すると循環器不全、呼吸障害、腎不全。最悪の場合、死に至る。
・ツキヨタケ
(形態的特徴)傘の色はシイタケに似るが、柄を割ると基部に紫黒色の染みがある。また、傘のヒダ部分が発光する。主に山地のブナ帯の倒木に生える。
(中毒症状)激しい腹痛と下痢、おう吐を起こす。
*:毒キノコではありませんが、生食すると中毒を起こすものとしてエリンギ、シイタケ、マイタケ等が報告されているので、注意が必要です。
有毒植物による食中毒を防止するために
有毒植物による食中毒を予防するために、次のことを守りましょう。
1.食用と確実に判断できない植物や種類がよくわからない植物は食べない。
2.古くから言われている“毒キノコの見分け方”には正確でないものもあるので、確実に食べられるもののみを食べる。
3.家庭菜園や畑等で、野菜等と野草を一緒に栽培しないようにする。
もし、有毒植物を食べて体調が悪くなった場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
その際、原因と思われる有毒植物の残品があれば、治療の参考となる場合があるので、医療機関に持参してください。
参考
本文中の写真は厚生労働省ホームページより転載するとともに、内容は下記のホームページ及び文献を参考にしました。
○厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/
○厚生労働省「毒キノコによる食中毒に注意しましょう」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kinoko/index.html
○厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
○(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所「写真で見る家畜の有毒植物と中毒」
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/contents.html
○「日本の毒きのこ」,株式会社学研教育出版,2003
○「食品衛生検査指針 理化学編」,(社)日本食品衛生協会,2005
- 西九条保育所の子供たちが市場見学に来ました!
-
9月1日(火)午前10時に、大阪市立西九条保育所の園児22名と先生4名が市場見学に来られ、うおいちの活魚水槽と三谷鰹節店を見学しました。
まず三谷鰹節店さんの店舗に行きました。カチンカチンと鰹節をならしながら、鰹節がどうやってできるかなどの説明をしていただきました。園児たちは鰹節を試食させていただき、「おいしい!」「木みたいにかたい」と、よろこんでいました。
次に、弊社の活魚水槽に行きました。ここでは、たくさんの水槽の中にいろんな種類の魚が泳いでいるのを見ました。見やすいように発砲スチロールに入れたヒラメやタコを子どもたちに触ってもらいました。
子どもたちはピチピチはねる魚や動くタコにおっかなビックリしながら、「タコって、ヒラメのほうにばっかり行くな。なんで?」、「タコはなんでひっつくん?」、「ヒラメって縦にならへんの?」とか言いながら魚を触っていました。
保育所では週に1回はお魚の給食があるそうで、子供たちはおおむね魚好きだそうです。これからもたくさんお魚を食べて健康でかしこい子に育ってね!
- 今年度秋の水仲の食育活動
-
大阪市水産物卸協同組合(木本 慧理事長)では食育と魚食普及を中心とした活動を行い、大阪本場のPRに努めています。
今年度は9月5日(土)に近隣の玉川小学校さんをお招きして、食育親子料理教室を開催しました。
- 「旬の魚」キダイ(レンコダイ)
-
スズキ目タイ科キダイ属、市場では「レンコダイ」の通称で呼ばれているキダイを紹介します。
鯛(たい)といえば、姿・色・味とも日本人好みで、「おめでたい」に連動して古くから祝い事には欠かせない魚として知られています。タイ科魚類に加え、タイ科魚類以外でも「・・・ダイ」という名前が付いている魚を併せると、その数は実に300種を超えるといわれます。そのうち、原色魚類大図鑑によると、日本産のタイ科魚類は13種でキダイはここに含まれます。
さらに、一般的に食用として流通しているものとなると実に6種類しかありません(マダイ・チダイ・ヘダイ・キダイ・クロダイ・キビレ)。
■あたたかい海を好みます
魚の王様「マダイ」と比べると黄色っぽく、鮮青色の小斑点がないことで区別できます。魚体はマダイより小型で、大きいものでも体長35cm程度です。市場に入荷するのは体長20~30㎝程度のものが多いです。
海岸付近(たとえば瀬戸内海など)に生息するマダイとは異なり、沖合いから大陸棚周辺、水深200メートル前後の、どちらかといえば海底付近に生息しています。 また、夏は浅いところ、冬は深いところで生活します。産卵は春と秋の2回ですが、産卵のため沿岸に近づくといったこともなく、生息域である大陸棚周辺で産卵するものと考えられています。
適水温が高く、本州の中部以南で獲れるため、関西より西の地方でおなじみの魚です。なかでも九州西方の東シナ海での漁獲が多く、日本の総漁獲量の5割以上を占めるといわれます。
■タイ類のなかでは、もっとも“肉食系”
日本近海に生息するタイ類のなかでは、もっとも“肉食系”といわれ、エビ・カニなどの甲殻類や、小魚・イカ類だけにとどまらず、アカムツやカサゴなどの幼魚も食べます。
寿命は約8年で、雌性先熟型の性転換をすると考えられています。2歳前後ではメスが8割を占めていますが、成長とともにオスの割合が増え、8歳魚では、ほとんどがオスになります。
■漁法
群れを好んで、海底付近を泳いでいるため、底引き網や延縄で漁獲されます。延縄で次々と連なって漁獲されることから連子鯛(レンコダイ)の別名がついたといわれます。釣りで漁獲されることもありますが、レンコダイを狙ってということは少なく、「アマダイを釣るつもりが、レンコダイがかかった」ということがよくあるそうです。
■アフリカに仲間がいます
同じタイ科に属する標準和名「キレンコ」(別名 キシマダイ)は、南アフリカ付近に分布しています。トロール漁法で1時間以内に1ヶ所で20トン漁獲されたことがあるといわれます。レンコダイ同様、白身で美味しい魚です。
■おいしい食べ方
塩焼きにするのが一般的です。身質がやわらかくマダイを超える美味しさともいわれます。ちょうど重箱に入る手頃な大きさなので、尾頭付きの焼鯛として使われ、お正月のおせち料理や披露宴など祝いの席で使われます。
他に、煮付け・唐揚げ・吸い物などマダイと同じ調理方法で美味しくいただけます。カマボコの材料(すり身)にされることもあります。ちなみに若狭(福井県)の笹漬けに使われているのもレンコダイです。
■栄養的には天然マダイと同様です
キダイの栄養価は、天然マダイとほぼ同じと考えるとわかりやすいです。 たんぱく質を豊富に含み、またアミノ酸のうち、旨み成分であるグルタミン酸やイノシン酸がバランスよく含まれています。
他の白身魚と同様にアレルギーの原因となる成分が少ないので離乳食や高齢者の食事にはぴったりといえます。
■おいしいレシピ
レンコダイ(キダイ)の酒蒸し
レンコダイは、酒蒸しにすると身に甘みがあって柔らかく繊細な味で、本家のマダイも驚きのおいしさです。ぜひお試しください。
【材料(2人分)】
レンコダイ・・・1尾(調理済み約400g)
酒・・・大さじ2
みりん・・・大さじ1/2
塩・・・少々
昆布・・・1枚(10㎝×10㎝)【作り方】
① 蒸し器に入る大きさにレンコダイを切り、軽く塩を振って(お腹の中や頭も)30分くらいおく。
② ①のレンコダイの塩を水で洗い流し、水気を切る。少し深めの器に昆布を敷いて魚をのせ、上から酒とみりんをかけ、器の上に軽くアルミホイルを被せる。(器の中に蒸器の蓋から落ちる水滴をさけるため)
③ 蒸す時間は、蒸気が上がってから15分程度が目安です。■旬の魚のバックナンバーはこちらから
- 行事予定のお知らせ
平成27年度 京阪神三都市親善競技大会
皆様の熱いご声援をお願いします
日 時 10月7日(水)(臨時休業日) 9:30 開会式 場 所 京都府立山城総合運動公園(太陽が丘)(京都市) 競技種目 野球・卓球・テニス –
- 場内大会の結果報告!!
第57回 場内将棋大会
結 果 優 勝 団体戦A級 高浜敏夫・鈴木智之・西岡栄治 (水卸)
優 勝 団体戦B級 木下正次郎・三元祐吉・河内嘉哉 (青卸)
優 勝 個人戦A級 高浜敏夫 (水卸)
優 勝 個人戦B級 髙橋雄太 (うおいち)日 時 団体戦 9月1日(火) 午後1時30分 ~
個人戦 9月2日(水) 午後1時30分 ~場 所 業務管理棟 13階 共通会議室
- 資料室からのご案内
新刊案内
『アクアネット 魚病対策の再点検 特に新興感染症への対応について』(湊文社)
近年の魚病被害額は100億円と推定されており、給餌養殖の生産額に対する被害の割合は概ね4%程度で推移しています。90年代には、200億円を超える魚病被害が発生していましたが、90年代後期よりレンサ球菌症、マダイイリドウイルス病、類結節症等のワクチンが市販され、ワクチンの普及に伴い、猛威を振るっていたこれらの疾病の発生も激減し、全体の魚病被害額も大きく減少しました。その一方で、有効なワクチンが開発されていない等の理由により、解決が困難な難治癒性の疾病の被害は継続しており、ブリ類ではノカルジア症やミコバクテリア症、マダイおよびヒラメではエドワジエラ症などが依然として発生しています。また、これら難治癒性の疾病に加え、新興感染症が発生し大きな問題となっています。新興感染症とは、かつて知られていなかったが新たに確認された感染症を指しますが、ここでは新興感染症を中心に、国内未侵入であった海外伝染病や再び問題となっている再興感染症についても取り上げ、最近の魚病問題について概説します。
【新着の図書・資料の紹介】
『臨時増刊 日本食糧新聞 2015年全国麺類特集』(日本食糧新聞社)
『aff 特集:クロマグロ食す・守る』(農林水産省)
『果実日本 特集:果実流通における今後の展望』(日本園芸農業協同組合連合会)
『菜果フォーラム 特集:新食品表示法スタート生鮮食品、加工食品、添加物それぞれの新基準』(日本青果物輸入安全推進協会)
『FRA NEWS 国際連携・協力』(水産総合研究センター)
『あまから手帖 ターミナルでもう一軒!二軒目気分&シャルキュトリーを食べるなら』(クリエテ関西)
『水産振興 海況と漁獲量予測 -漁場への加入をイセエビで考える-』(東京水産振興会)
『キューピーニュース ゆっくりかんで、体重を維持』(キューピー㈱)
『野菜情報 別冊統計資料』(農畜産業振興機構)

- 2023年 Vol.108
- 2022年 Vol.107
- 2022年 Vol.106
- 2022年 Vol.105
- 2022年 Vol.104
- 2021年 Vol.103
- 2021年 Vol.102
- 2021年 Vol.101
- 2021年 Vol.100
- 2020年 Vol.99
- 2020年 Vol.98
- 2020年 Vol.97
- 2020年 Vol.96
- 2019年 Vol.95
- 2019年 Vol.94
- 2019年 Vol.93
- 2019年 Vol.92
- 2018年 Vol.91
- 2018年 Vol.90
- 2018年 Vol.89
- 2018年 Vol.88
- 2017年 Vol.87
- 2017年 Vol.86
- 2017年 Vol.85
- 2017年 Vol.84
- 2016年 Vol.83
- 2016年 Vol.82
- 2016年 Vol.81
- 2016年 Vol.80
- 2015年 Vol.79
- 2015年 Vol.78
- 2015年 Vol.77
- 2015年 Vol.76
- 2014年 Vol.75
- 2014年 Vol.74
- 2014年 Vol.73
- 2014年 Vol.72
- 2013年 Vol.71
- 2013年 Vol.70
- 2013年 Vol.69
- 2013年 Vol.68
- 2012年 Vol.67
- 2012年 Vol.66
- 2012年 Vol.65
- 2011年 Vol.64
- 2011年 Vol.63
- 2011年 Vol.62
- 2011年 Vol.61
- 2011年 Vol.60
- 2011年 Vol.59
- 2010年 Vol.58
- 2010年 Vol.57
- 2009年 Vol.56
- 2009年 Vol.55
- 2009年 Vol.54
- 2009年 Vol.53
- 号外 2010年08月05日